感情が分からないのは思考で感情を分かろうとしているためである
感情は訳の分からないもので怖いとか嫌いだと思ったりしていませんか?
たしかに、感情的な人を見ると、原因もなく泣いたり怒ったりして怖いかもしれません。
しかし、人とのつながりや絆をつくるのに感情はとても大切です。
頭では理解できないものですが、感じることができると人生に豊かさをもたらしてくれます。
Contents
1.感情は頭で理解できるものなのか
①感情と思考の違い
思ったり考えたりすることが得意な人にとって感情というものは理解しにくいかもしれません。
感情は思ったり考えたりすることで感じることはできないのです。
むしろ考えれば考えるほどに分からなくなっていきます。
では、感情とはどういうものなのでしょうか。
感情を言葉で表すと次のような感覚に対する反応です。
ハラハラ・ドキドキ・イライラなどです。
うれしい感覚・悲しい感覚・面白い感覚・楽しい感覚もそうです。
こういった感覚に対して、好き・嫌い、快・不快という反応を示すものが感情なのです。
仮に同じものに対して、同じような感覚を抱いたとしても、その感覚に対しての好き嫌いは人によって分かれます。
感じた物事に対して好きとか嫌いとかを反応するものなので、思考ではとらえることができません。
好き・嫌いというものは理屈ではないのです。
反応なので、正しい正しくないという概念では縛れません。
ハッキリ言えば、感じた感情はすべて正しいのです。
感情は良い悪いという概念で縛るものでもありません。
ある物事に対して様々な反応があることは仕方のないことなのです。
感情は感情で良しとしながら、社会的に調和していくために倫理や法律があります。
感情のことは感情の世界のこととして別の判断軸を持つことが大事なのです。
②思考で感情をがんじがらめにするとつらくなる
社会的に生きている私たちは、人との調和を重視しています。
これは倫理や道徳、法律などを使って行動の良しあしを決めて社会を作っていると言えます。
これらを守って生きるということは人間社会を生きていくうえで大切なことです。
もしこれらが破られてしまうと、社会で人間同士が調和して生きるということが崩れてしまうためです。
ただ、心の動きだけに関して言えば、実はこれらに縛られる必要はないのです。
むしろ、法律や倫理や道徳などでは縛ることはできません。
心の動き(感情)は動物的な反応だからです。
悲しいことが起こってもそのことで気分がよくなってしまう反応になる人もいるでしょう。
楽しいことをやっていても、つまらないと感じることだってあると思います。
その心の動きがあることはすべて正しいのです。
むしろそれを無理に「悲しい雰囲気だから気分を落ち込ませよう」とか
「みんなが楽しそうだから自分も楽しくならなくちゃ」とか心に修正を加えようとすると無理が生じます。
それはつらくなり、生きづらくなっていってしまいます。
社会的な空気は社会的な空気でよく、また自分の心は自分の心で良いのです。
自分の心の動きはそれはそれで正しいとしてまず認めることが大事なのです。
③感情を認めたうえで行動することの大切さ
ただ、何度も書きますが、法律を遵守すること、道徳・倫理を尊重することは大切です。
自分の心の動きのまますべてを行動に移してしまうと社会の秩序が保てなくなるためです。
その中であるべきは、自分の感情は大いに肯定するというのを第一にしたうえで、社会の決まり事を自分の判断で選択することが大事なのです。
社会の決まり事と自分の心の動きとに矛盾があるとき、まずは自分を認めるのが必要です。
自分を否定し続ければ、不満が高まり、自分の感情以外のものを受け付けなくなってしまいます。
我慢を続けると、自分の生き辛さを高めていってしまうのです。
それがゆえに、自分で自分の気持ちをしっかりと認めることがとても大事なのです。
それができれば、社会の決まり事を遵守していく心の余地が生まれます。
2.感情を感じることのメリット
①感情は自分の好き嫌いを明確にする
感情は自分の好きなものと嫌いなものを明確にします。
逆に思考を強めていくと自分の好きなもの嫌いなものがよくわからなくなります。
好き嫌いが激しい人もいます。
好き嫌いが激しい人というのはネガティブな表現です。
それは感情に任せて人を判断するのはよくないという思考から作られている価値観によるものです。
確かに人付き合いを円満に過ごす、組織を上手に回すなどのチーム作りには欠かせないことかもしれません。
でも、好き嫌いが分からなくなってしまうと、知らず知らずのうちに我慢してしまう癖がついてしまいます。
やりたくないことをやり続けてしまう。
付き合いたくない人と付き合い続けてしまう。
大好きなことを我慢してしまう。
我慢しているということが分かるだけまだましです。
時に我慢していることに気づかないこともあります。
我慢に気づけないと知らないうちに不満がどんどんたまっていきます。
「嫌だ」と思う否定的な感情は気づかないけれどもどんどん溜まっていきます。
そしていつか爆発してしまい、今まで円滑にまわしていた人間関係をすべて壊してしまったりします。
もしくは、正体不明の不調がずっと続いたりすることにもなります。
そこまでいかなかったとしても、好きなことがわからないため人生で楽しいことをするチャンスが減っていくのです。
逆に、自分の好き嫌いを認識できるようになると、人生の楽しみを見つけることができます。
「やってみて好きだった」「付き合ってみて好きだった」という体験は楽しいものとして記憶されます。
この感情が感じられれば感じられるほど、人生の有意義さを感じられるようになります。
感情が明確になるほどに、人生は豊かになっていくのです。
②感情があることで自分の調子がわかる
自分のコンディションがいいのか悪いのかは感情が働くことによってわかります。
自分の感情に敏感であればあるほど、自分の調子がいいのか悪いのか判断がつきやすくなるのです。
やけに悲しかったり、怒りっぽかったりするときは、知らないうちに疲労がたまっていることが多いです。
感情が分からないと、怒っているのかどうかも自分では判断がつかないことがあります。
しかし、無意識には怒りが溜まっていっているのです。
思考が強すぎる場合、怒りが溜まっていることすら気づかないことが往々にしてあります。
そのうち、無理が溜まり、無気力になってしまったり、ひどい場合病気のようなものになってしまうこともあるのです。
自分の感情に敏感であれば、自分が「やけに怒っている」ということが即座に分かります。
その「怒っている感情」を手掛かりにして、疲れているから休もうということが判断できるのです。
感情は自分のコンディションセンサーのようなものなのです。
③感情は人とのつながりを作るもの
感情は人とのつながりを作ります。
ある場面で同じような感情を抱いている人は直感的にわかるからです。
例えば、自分がさみしさを感じている場合、同じようにさみしさを感じている人がなんとなく分かります。
そして、同じさみしさを抱いている場合、さみしい気持ちを人と分かち合えるのです。
そして、さみしい気持ちを分かち合えると、つながりができ、仲良くなれるのです。
これは感情がなければ分かち合うということはできません。
そもそもさみしい気持ちすらよくわからないのです。
さみしい気持ちという分かち合うものがないと、関係性ができる余地が少なくなっていってしまいます。
3.まとめ
・感情は思考は異なるものである
・思考で感情をがんじがらめにしてしまうと生きづらくなる
・感情は自分の好き嫌いを明確にする
・感情で自分の調子が分かる
・感情によって人とのつながりが作られる
以上、参考になさってくださいね。